14既卒無職から見た世界

23歳、14既卒無職(ニート)の日誌です。

「日本の労働者だけ賃金低下」なのか?

いいかげんな「データ」っていっぱいあるよなぁと思い、自分で少し考えてみました。今回はそれほど大きな問題はありませんでしたが、不誠実なデータを世の中から減らしたいですね。

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以下のツイートをTLで目にしました。

なんか大げさじゃないかなあ、たぶん名目で見てるんだろうなと思い、物価の影響を除いてみたくなりました。が、OECDデータベースからは雇用者報酬(Compensation for Employees)の実質値が得られないようだったので、代わりに平均年収(Aberage Annual Wages)を用いました。

 

上のグラフで登場した7カ国の名目平均年収を、1997年を1として比べたものが以下のグラフです*1*2

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当該グラフと似たグラフが出来ました。オーストラリアがトップで、日本は唯一漸減しており、ぶっちぎりの最下位です。

雇用者報酬を平均年収で代替してもそんなに問題はなさそうです。

 

次に、同じ平均年収を、2013年を基準年とした実質値で比較すると以下のようになります。

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いずれにせよ、日本は最下位です。ここは変わりません。

しかし、ずいぶん印象が違いませんか?

先ほどトップだったオーストラリアは第4位です。上がり調子に見えたイギリスも、こちらではリーマン・ショック以降でしょうか、下降傾向に見えます。最下位の日本とトップとの差も、依然大きいものの、かなり縮まりました。

先のグラフはやはり物価の影響が考慮されていなかったようです。

つまり、日本の名目平均年収は1997年以降確かに下がっているけれど、物価も同じように下がっているので、実質的な購買力はあまり変わっていないんですね*3。 

「日本の雇用者報酬は7カ国中最下位で、1997年以降上がっていない」ということは、どのグラフからも読み取れる事実です*4。でも、先のグラフが印象づけるような下降傾向とは言えないし、それほどの各国との差はないんですよね。ちょっとミスリーディングです。せめて先ほどの「日本の労働者だけ賃金低下」は「日本の労働者だけ名目賃金低下」に直してほしいところです。

でもやっぱり、もらえる給料は1997年以降「目に見えて」下がっているし、ふだん実質なんてあんまり考えないから、なんとなく景気は悪いと感じてしまいます*5*6。さらに、名目でも実質でも、日本はほかの国が上がるなか上がっていないのは事実です。なので、名目・実質のちがいは些細なことかもしれません。

それになんといっても、僕は給料を貰える立場にないんですよね。

*1:こちらは1997年から2013年までの推移です。

*2:NCUはたぶんNational Currency Unitの略で、これらは各々その国の通貨で測った数値だということです。

*3:上がっていないことはもちろん問題なんでしょう。

*4:ちなみに、もっと期間を広げて見ると、実質平均年収はこのようになります。

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2013年の物価で考えると、1994年以前よりは豊かなんですね。

*5:このような感覚を表しているという意味では先のグラフは一面の事実を示しています。

*6:以上は2013年までのデータをもとにしたお話です。データで見ていないけど、2014年はたぶん物価が上がって実質賃金は下がっているのではないかな。